吐出吸引開口アレイを有する積層型マイクロ流体プローブの開発

摘要

近年，上部が大気に開放された溶液ウェル構造内での局所的薬剤処理が可能な流体デバイスとして，マイクロ流体プローブ（MFP）が注目を集めている。MFPはデバイス先端にマイクロ流路と接続された複数の微小開口を有し，それぞれの開口で流体の吐出吸引を行うことにより微小領域での流体制御が可能なデバイスである。この流体制御により，組織工学や生体計測分野においてMFP技術(1)は，バイオパターニング，細胞刺激実験，マイクロゲルファイバー，ビーズ形成(2, 3)等への応用研究が行われている。さらに，局所処理のハイスループット化や高機能化を実現するため，開口部を複数設けアレイ状にする手法が提案されている(4)。しかし，開口アレイを有したデバイスの作製には多くの課題が残っており，従来のガラスとシリコン基板からなるMFPではシリコン上に形成する流路の数を増加させることで一方向への開口数の増加は可能であるが，2次元的な開口アレイの拡張が困難となっている（図1参照）。