反射型マイクロ原子時計セル

摘要

原子時計は、ガスセルに入ったアルカリ原子が吸収する電磁波の周波数を基準にした高精度な時計である。ガスセルをMEMS 技術により作製することで、チップスケールで高精度な原子時計を実現する研究が進められている。ガスセル中の光路長を短くするとS/N比が低下するため、ガスセルの厚さを薄くするのには限界があり、実装も含めたシステムの小型化には限界がある。そこで、レーザーをガスセル内で反射させることでレーザーの光路が基板に対して面内方向にある、反射型のガスセルの研究が進められている。反射型のガスセルでは、片面上にレーザーや光の検出器が配置できるため回路基板上への実装が容易である。しかし、(100)シリコンウエハの結晶異方性ウエットエッチングでは、形成される(111)面は基板面に対して 54.74°となるため、回折格子を用いて光路を曲げることで反射型ガスセルを実現する報告があるが、光の回折により強度が低下する問題がある。