歯茎摩擦音発音の空力音響シミュレーション：被験者の違いに関する解析

摘要

摩擦音とは，日本語のサ行（/s/,/sh/）やハ行(/h/,/f/)等を発音する際に発生する子音の一種であり，口腔内に形成される狭窄流路のジェット流から空力音として音が発生する．声帯から発生する母音と違い，空力音として音が発生するため，口腔形状の異常やダウン症等による舌機能の障害のため，狭窄流路を上手く形成できずに構音障害となることが知られている．特に，舌先端の微妙な前後の位置の違いにより発音し分ける歯茎摩擦音/s/と後部歯茎摩擦音/sh/は区別が難しく，発音障害になりやすいと言われている．そのため，口腔内でどのように狭窄流路を形成し，ジェット流から歯茎摩擦音の音響特性が発生するのかを明らかにすることで，構音障害のリハビリ治療支援等に役立つことが期待されている．