曲率に応じた適応的不透明度制御に基づく3次元計測点群データの高精細エッジ抽出

摘要

文化財は先人達の歴史が詰め込まれている貴重な資産であるため，後世に継承していくことが重要である．しかし，文化財を適切に保管していたとしても経年劣化を避けることができない．そのため，文化財を劣化の無いデジタルデータ化して後世に残す「デジタルアーカイブ」という取り組みが行われている1)．デジタルデータ化された文化財は研究資源としてだけでなくネットワークを通じて世界中に公開することなどに役立てられている．こうした背景から，レーザ計測等によって文化財などを3次元点群として保存する「3次元計測」が行われている2)．計測で取得された数億点を超える大規模な3次元点群は，外部に加えて内部の形状まで記述されたものが多い．そのため，計測対象の内部構造と外部構造を同時に把握することができる透視可視化が有効である．しかし，従来の透視可視化3，4)では，ポリゴン，点などの描画要素のデプスソートが必須であり，この処理の計算時間はn(logn)(n:ソートする描画要素数)に比例して急速に増大する．さらに，ソートの失敗によるアーチファクトが出現する可能性もある．以上の理由により，従来のデプスソートに基づく透視可視化は，3次元計測で取得される大規模な3次元点群には適していない．