脳内刺入電極を用いた脳領野間への電気的な経路の追加による神経活動への影響

摘要

脳の神経活動に応じた電位?電場分布を生成する手法で，侵襲的なものは現在までまだ試みられていなかった.本研究では，今まで頭蓋外から行われていたインピーダンス制御を脳内において行う，intracranial extracellular impedance control:iEICを提案し，この手法を評価するための視覚反応弁別課題の実験系の構築を行った.実験動物にはWistar Ratを用いた.実験では，LCRハイテスタを用いてインピーダンス計測を行い，脳に流れる電流値の推定を行った後，それに応じた値の負性抵抗を接続し，行動課題を行わせた.反応時間について，ボンフェロニの補正を行ったt検定で有意差は現れなかった.しかし，神経信号の加算平均の相互相関係数について，タイムラグ0秒付近の値が負性抵抗接続時の方が高くなっており，負性抵抗の接続が行動課題や脳の電場?電流分布に影響を与える可能性は示唆される.