形状の工夫による転動型動吸振器への減衰付加の研究

摘要

機械や建物の振動を抑制する方法として，図1のように主系に対して，質量，バネ，ダッシュポットを付加することで，主系の振動を消散する動吸振器が用いられている．この動吸振器の中でもバネなどを用いない安価な方法として注目されるのが，尾畑らの研究する図2に示すような円筒面を転がる円柱を利用した動吸振器である．この動吸振器はTuned Rotary-Mass Damper（以後TRMDと省略）という名前の通り，転がる円柱状質量と円筒で構成され，固有振動数を自由に設計変更でき，かつ部品点数が少ないために安価で経年劣化等に強い特徴を持つ．しかしながらこのTRMDには動吸振器の設計の際に重要な要素である減衰特性の設定が難しいという課題がある．そこで，前報ではより簡単にTRMDの減衰特性を簡単に付加する方法として，転動する質量を図3に示すような多角柱にすることで，ロッキングを発生させ容易に減衰を付加することが可能なTRMDを提案した．