ポンプロータ系の2DOF縮小モデル化と安定限界の予測

摘要

各種プラントにおいて重要な機器の一つである横軸多段ポンプは高速で運転するため，振動に対する信頼性が重視される．ポンプを含む実機でのトラブル事例は日本機械学会の振動工学データベース研究会（通称v_BASE）等で多数報告されており，その中には横軸多段ポンプの軸推力平衡装置であるバランスピストン部（環状シール）での間隙流体力に起因した自励振動も含まれる．このような自励振動の予防は信頼性の観点から避けては通れず，運転前の設計段階で安定性を評価することが重要となる．American Petroleum Institute 610では，ロータ系の安定性を減衰比で確認するよう要求されているが，実機運用上は自励振動の生じる運転点（安定限界）を確認することが重要となる．そこで本報告では，横軸多段ポンプを例に，ロータ系を2自由度モデルに縮小する方法，および安定限界を縮小系で予測する簡易手法を提案する．