確率システムの有限時間整定制御における強い解の存在性

摘要

本稿は確率システムの有限時間整定問題において，確率微分方程式の強い解と呼ばれる解の存在性を議論するものである．非線形制御の分野において，近年，盛hな研究が行われている問題の一つに有限時間整定問題が挙げられる．これは有限時間安定性を保証するフィードバック制御則を設計する問題であり，有限時間安定性とはシステムの状態量が有限時間内に平衡点に到達することが保証された漸近安定性のことをいう．有限時間安定性および有限時間整定問題は，はじめに確定システムについて議論され，その後，確率システムに対しても議論されている．確率システムに対する有限時間安定性および有限時間整定問題はそれぞれ，確率有限時間安定性および確率有限時間整定問題と呼ばれる．確率有限時間安定性については，判別定理が文献によって議論され，その定理に基づいた確率有限時間整定制御則の設計法が提案されている．