複数の円形弾性介在物を有する等方性弾性体の準三次元問題の解析

摘要

円形弾性介在物を有する無限に広がった媒体内に，無限遠方より一様に応力が作用する問題はその工学的な重要性から解析解を求める試みが行われてきている．これらの単一介在物が存在する問題を発展させて，複数の介在物が存在する問題については有限要素法など数値解析的手法によって解かれており，二次元弾性論に基づく一般解の形で解が得られていない．このことから，本研究では複数の介在物が存在する問題について定式化を行い，一般解を誘導する．この目的のため，森口による単一介在物を有する面内問題の一般解を基本にする．また，複数の介在物が存在する問題へ拡張させるため，面外問題を取り扱った著者らの解析接続による手法を用いる．ここでの理論式は大きさや位置の異なる複数の円形弾性介在物を扱っており，介在物の弾性定数を特殊化することによって，空孔，または剛体介在物の問題も含め，系統的に包含したものとなっている．