果菜類接ぎ木苗生産におけるメカトロニクス

摘要

「苗半作」という言葉があるように，苗の品質が農産物の品質や量を左右し，農産物は生長履歴を伴う．果菜類や果樹や花卉では，連作障害回避，品質向上，効率的生産を目的に接ぎ木が利用される．土壌消毒のための農薬投与の軽減により環境に優しく，台木の給水能力による品質向上が可能で，培養や組み替えに比べて安価である果菜類の接ぎ木は，国内流通で年間約5億本，流通以外の自作苗を加えると7～10 億本程度の需要があるとされている．全世界ではこの100 倍以上の需要で約1000 億本，100 円／本とすると10 兆円の産業とみることができる．その生産体系も生産従事者の高齢化や生産の効率化を理由に自家生産から専業化が進hでいる．それも農繁期集中から人材不足が生じ，パートや外国人研修生なども従事させている．そのため，時間経過に伴う疲れや個人的な熟練度に依存する技術精度の不安定化から，機械化による画一性，生産のシステム化·工場化が求められている．また，苗生産は農作物生産に比べて期間が短く，集約的であるため，植物工場の対象として適している．