下腹部を対象としたCTガイド下穿刺制御戦略: 多層組織における境界破断検出手法の構築

摘要

近年，経皮的穿刺は薬剤注入や生検などの様々な治療用途で用いられている．使用する針が細いほど患者への侵襲性が抑えられる一方で，穿刺中に受ける組織からの反力（穿刺反力）によって容易にたわみ，正確な位置決めが困難である．そのため穿刺治療は施術の難易度が高く，その中でも特に下腹部深部を対象とした穿刺治療では，皮膚や，筋，腸管といった材料特性の異なる多様な組織で構成されており，複雑な穿刺反力を受けることで針がたわみやすい．針先位置を確認する手段としてCTや超音波診断装置(US)といった医療用画像診断装置を用いられられるが，下腹部の場合，腸内ガスの影響を受け超音波が減衰してしまうことからUSでリアルタイムに鮮明な画像を取得することが困難である．そのため，画像の鮮明度の観点から，下腹部穿刺においてはCTを用いて穿刺中に適宜針先位置を確認する．しかし，医師の手技や穿刺目標の位置によってCTの撮像回数は増えてしまい，医師や患者への被曝量や施術時間の増加が懸念される．