産業医学からみた人が主役のシステムインテグレーション主観的世界と客観的世界を繋ぐMixed Methods Research（混合研究法）の可能性とアポリア

摘要

超長寿社会が進行するわが国においては，働けるまで働くことができ，多様な人生選択が可能な柔軟性の高い労働環境と，サポートシステムの構築が迫られている．さらに，AI化やIoTが進涉する社会においては，「人にしかできない仕事とは何か」，「人間らしさとは何か」という锡点が，より一層訴求されるであろう．以上より，快適職場環境の実現のためには，主観的な価値と客観的な数値を組み合わせた統合的な評価システムが指向されるべきである．しかしながら，今までの産業医学の領域では，内的な視点を重視した質的研究がほとhど行われず，量的研究が専らであった．本学会においては，我々の研究室で行われた産業医学領域の質的研究（主題 職業人の受療行動に関する質的研究，副題 「働く私」の自己意識に着目した心理的受療プロセス）を紹介すると共に，今後，質的研究と量的研究はどのように組み合わせていくことができるのか，混合研究法の可能性とアポリアを検討したい．