下肢感覚運動統合機能の定量的評価法の開発－脳卒中片麻痺患者の定量的評価法の一考察

摘要

脳血管障害などによって，感覚運動統合機能が低下すると姿勢バランスの維持や，円滑で素早い動作に支障をきたす．しかし、巧緻性の獲得を目的としたリハビリテーション（以下，リハビリ）で必要とされる感覚運動統合機能の評価は，療法士の主観的評価尺度に基づいており患者のニーズに応えきれていない．そこで筆者らは，下肢感覚運動統合機能の回復のための運動·評価ツールである体性感覚リハビリテーションシステムを開発した[1]．固有感覚の一時的な消失により，感覚運動統合機能が低下している脊髄後索障害患者を対象とした臨床試験から，ある一定の知見を得ている[2]．本稿では，文献[1]，[2]で提案した体性感覚リハビリテーションシステム，ならびに評価法を脳卒中片麻痺患者に適用し，それらの適用可能性を検証する．このために，3 週間のリハビリ効果を提案評価法にて評価，比較を行う．対象被験者は，訪問リハビリを受けている脳卒中片麻痺患者1 名である．