バイオコークスを用いた銑鉄レス鋳造における鋳鉄材質への影響

摘要

鋳物を生産する際，鋳物用コークスとして石炭コークス，電極黒鉛などが用いられている．また，銑鉄鋳物の鉄源の溶解には，主にキュポラや低·高周波誘導炉が用いられている．最近ではキュポラの数は減少しているが，それでも鋳物工場の約6 割を占めており，そのキュポラには燃料の一部としてコークスを使用している．化石燃料である石炭コークスを燃料として使用すると，地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出してしまい，また，自然資源は限られているためいずれは枯渇すると考えられる．これらの問題を解決するために，資源を輸入に頼ることから脱却し，国内で資源を生み出していかなければならず，石炭コークスの代替可能なバイオマスを起源とする固形燃料を我々は提案している．これまでの実験により，バイオコークスには加炭効果があり，溶湯中の炭素量が低いほどバイオコークスの加炭効果が高いことが認められている．本研究ではバイオコークスの中でも加炭効果が高い木くずバイオコークスを使用し，価格が上昇傾向にある銑鉄の代替として，鋼くず，バイオコークス，Fe-Si 合金のみで，銑鉄レス鋳造を行い，銑鉄レス鋳造が可能であるか検討を行った．