衝撃波組織再生システム開発のための水中衝撃波による細胞内伝播応力波解析

摘要

昨今，生体組織細胞内の衝撃波現象が集束衝撃波結石破砕治療や骨形成術または種々の医療技術に応用されており，さらに各種分野への発展が期待されている． その一つがDDS への応用であるが，カプセル内薬物の細胞への導入効率を現在より高めることが技術的に必要とされており，衝撃波による細胞膜への作用機序解明が重要な問題となっている．一方，導入物質がない状態での，細胞や組織への衝撃波の作用による変化を調べることもDDS 開発の中で同時に重要な課題となっている．これに関しては，研究レベルにおいては骨形成や血管増殖などの衝撃波の再生医工学への応用も行われている．特に，衝撃波の生体細胞に与える影響については，冠状血管の増殖促進や，血管の培養細胞の増殖の促進が報告されているが，細胞に作用する衝撃波伝播を伴う複雑な圧力場や応力場については，計測対象がマイクロスケールであることと高速現象であることから未解明の部分が多い．そこで本研究では，水中衝撃波を作用させたときに増殖に関連すると考えられる機械的刺激の1つである細胞内に生じる応力波の伝播を調べるために，水中の付着状態細胞および浮遊状態細胞に衝撃波が伝播する様子を，数値計算（有限要素解析）を用いて解析する．また，衝撃波の特徴である立ち上り時間の変化が細胞内で生じる応力場に与える影響についても調べる．