流体動圧軸受端部に設けられたテーパーシールに関するメカニズムの解明（衝撃を受けたときのテーパーシールにおける流体表面の挙動）

摘要

（1）本研究では流体軸受端部に設けられたテーパーシールのメカニズムを解明する一環として，HDD が衝撃を受けた際のテーパーシールの液面挙動を混相流として理論的に検討し，その数値解析方法を提示した．（2）シール漏れに最も影響するのは衝撃に応答するシール液面の軸方向の移動速度と振幅である．そのシール液面の移動は回転体の衝撃への応答に依存する．軸受剛性と減衰を上げ，回転体質量を軽量化させ，シール液面の応答振幅と移動速度が抑えることは，シール漏れ防止に効果がある．（3）表面張力が機能できる範囲内で，シール隙間が大きいほうが，衝撃を受けた際のシール液面の振幅と液面移動速度を抑えることができ，シール漏れ防止に効果がある.（4）衝撃を受けた際，シャフトとスリーブの偏心により，テーパーシール液面が回転軸に対して傾き，シール液面の振幅と移動速度が大きくなる．したがって，モーターのアンバランスを小さくし，シャフトとスリーブの偏心率を小さくすることは，シール漏れ防止に効果がある．（5）テーパーシール壁の適切な場所に濡れ止め剤を使うことにより衝撃を受けた際のシャフトとスリーブの偏心によるシール液面の傾きを抑えられ，シール液面の振幅を抑えられるので，シール漏れ防止に効果がある．