スキップフローショップ型生産システムのためのネスティングを考慮したスケジューリングに関する研究

摘要

素材加工型の生産システムにおいては，材料価格が高騰する中，いかに材料の無駄を減らしつつ生産を行うかが重要な課題となっている．また，ユーザニーズの多様化に対応するために，多品種少量生産方式を採用している企業が数多くあり，生産の効率化を図る上で適切な生産管理を行うことが必須となってきている．そのような生産システムのひとつに板金加工の生産システムが挙げられる．板金加工の生産システムは，スキップフローショップ型に分類される生産システムである．スキップフローショップ型生産システムとは，一般的なフローショップ型生産同様，全ての製品の工程順序が同一であるが，多品種少量生産に対応するために，製品によっては加工を必要としない工程が存在する，すなわち特定の工程をスキップすることができる生産方式である．そのため，多くの製品が加工を必要とする工程ほど負荷が集中しボトルネック工程となるため，適切なスケジューリングを行わなければ生産効率が悪化する．また板金加工では，金属の板材から部品を取得するために，板材に対する部品の割付および配置を決定するネスティングと呼ばれる作業設計が行われる．ネスティングは板材の無駄を減らすことを主目的に実施されるが，材料歩留りばかりに着目していると，後工程の生産効率を悪化させるという問題がある．このように，板金加工におけるスケジューリングとネスティングとはトレードオフの関係にあり，両者を同時に考慮しなければ全体の生産効率を悪化させるが，これらを同時に考慮した例はほとhどない．そこで本研究では，ネスティングを考慮したスケジューリング手法を提案することを目的とする．具体的には，ディスパッチングルールを用いてスケジューリングを行い，その結果をもとにルールベースでネスティングを決定する手法を提案する．