メカニカル安全装置を搭載した人間共存型ロボットの開発（メカニカル安全装置の実験的検討）

摘要

医療の現場や日常生活で人をサポートする人間共存型ロボットの研究が活発に行われている．人間共存型ロボットにおいて人間に対する安全は最も重要な問題の一つである．従来のロボットの安全対策例として，非常停止ボタンでは，ボタンを押す前に人が傷つけられる可能性がある．低出力のモータの使用では，ロボットが行う作業が限定される．衝撃吸収材などによる衝撃緩和も考えられるが，高速度で人と衝突する前にロボットを停止させる方が望ましい．監視用コンピュータ等で暴走を検出しモータの電源を切るというのも考えられるが，モータの電源を切った際にモータがフリーとなりロボットの慣性により衝突する危険性がある．保持ブレーキ付きモータを使用した場合，ロボットに人が挟まれた際，ブレーキがかかり続けることになり救出が困難になる．本研究では，これまでに，ロボット暴走時に発生するロボットの駆動軸の速度に着目し，駆動軸に発生する高速度を機械要素のみで検知し，機械要素のみでロボットの暴走を食い止めるという安全装置を提案している．本報告では，実際に使用される人間共存型ロボットを想定し，作業中に不整地を走行する際の安全装置への影響を検証するために，安全装置を搭載した人間共存型ロボットを設計，試作する．また，試作したロボットを用いて動作実験を行い，安全装置の有効性を検証する．