足関節可動域を制限した状態での階段歩行時の下肢機能の分析

摘要

現在，義足の高機能化が進み，歩行速度に応じて義足下腿部の動きをマイコン制御する“インテリジェント大腿義足”と呼ばれる義足をはじめとする様々なシステムが開発されている．同義足は，主に健常な膝の代替である膝継手の機能向上を目指したものである．一方，健常な足関節の代わりとなる足継手については，底屈―背屈の角度を動力か手動で変えることは可能であるが，一度決定した角度に対しては一定の屈曲（底屈，背屈）可動域を有するものか，あるいは義足の足部の樹脂そのものの曲げを利用して足関節の代わりをするもののいずれかの方式しか開発されていないのが現状である．階段を自由に上ることができるなど，義足をさらに発展させるためには，現状の膝継手の機能向上とともに足継手の機能向上が不可欠であると考えられる．このための足継手の役割を詳細に調べるため，本研究では，足継手に一定の制限を与えた場合と制限を与えない場合の力学的データを比較し，どのような変化が見られるかを観察する．階段歩行における足関節の機能については，いくつかの文献による評価が実施されているが，足関節の可動域を制限した状態で階段を昇降した場合の歩行分析を実施した文献は現状ではほとhどないと考えられる．そこで本研究では階段の昇降に際し健常な足関節がどのような役割を果たしているかを調べる目的で，足にかかる荷重を時系列データとして計測できる階段を製作するとともに，健常な足の足関節の可動域を制限する装具を製作し，歩行実験を行ったので報告する．