木質系ナノファイバーを軸としたバイオマスリファイナリー研究開発

摘要

現在，地球温暧化対策やエネルギーセキュリティーの観点から，バイオマスからの燃料や化学品の製造技術が注目されている。特に，非可食性の木質等の利用は重要になっている。木質成分であるセルロースおよびへミセルロースは分子が糖で構成されており，加水分解（糖化）－発酵によりエタノールや化学品を製造することができる。近年は，酵素糖化法が主流であるが，木質は強靱かつ安定なため，酵素反応性を向上させる前処理が必須である。一方，ナノファイバーは強度等の物性が高いため，樹脂と複合化することによる高強度材料の開発が進められている。今回は，産総研で開発した水熱メカノケミカル処理による直接的な木質からめLCNF製造技術，LCNFの酵素糖化性，および樹脂複合化技術について紹介する。