導電性樹脂射出成形品の発泡成形による電気的特性制御

摘要

プラスチックに繊維を混合することで粘弾性·導電性·熱伝導性·剛性などの様々な特性を付与することができる.そのため近年，金属の代替材料として軽量化を期待できる繊維混合プラスチックの需要が高まっており，中でも導電性能は帯電防止や電磁波シールドといった用途から自動車および家電製品への適用に向けて注目されている.射出成形において樹脂に導電性繊維を混合する場合，繊維配向によって成形品の電気的特性に異方性が生じる.そのため製品設計の段階で異方性を抑制してどの方向に対しても同様な電気的特性を付与する必要がある.ここでの方向は流動方向のMD，流動直角方向のTD，板厚方向のNDと定義する.ND の導電性が他よりも低いことが異方性発現の原因であり，本研究の課題となっている.本研究ではこのメッキ繊維の柔軟さを利用して，成形条件や成形方法を変化させて繊維配向に影響を与え，電気的特性の異方性を制御する検討を行なってきた.前回の内容において，コアバックによる発泡が繊維配向に影響を与えていることを断面観察により確認したが，電気的特性の異方性は制御できなかった.そのため今回はコアバックを必要としない射出発泡成形を検討するとともに，繊維配向が電気的特性に与える影響を確認するため，繊維配向度の評価を行った.