溶融紡糸過程における炭酸ガスレーザー照射による各種ポリエステル繊維の高強度化

摘要

溶融紡糸法により作製したポリエステル繊維の高強度化に関して，分子鎖の絡み合い状態の制御という概念に着目し，紡糸過程において温度·歪速度条件を低デボラ数化して未延伸繊維を作製し，これを延伸することによりポリエチレンテレフタレート（PET)繊維の強度を従来の約1.0 GPaから1.7 GPa程度まで向上させることに成功している.本研究ではPETと同じ半芳香族であり、比較的剛直な分子構造を有するポリエチレンナフタレート(PEN)及び対照的に柔軟な分子構造を持つポリブチレンテレフタレート(PBT)に関して低デボラ数化による高強度化を試みた.低デボラ数化の手段として紡糸線上で炭酸ガスレーザーを照射してas-spun繊維を作製し，この繊維を高温2段延伸して延伸繊維とした.レーザー照射が各繊維の構造と物性に及ぼす影響について，ポリマーの剛直性の違いに着目して検討を行った.