軽量かつ高強度という特性を有する炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、鉄鋼とアルミ合金に代わる新しい構造材料として注目を集めている。これまでCFRPの非破壊評価は、主に樹脂に由来する欠陥である層間剥離やクラックを対象に研究開発されてきた。しかしながら、RTM(Resin Transfer Molding)法の積層工程等に発生するミスアライメント等の繊維由来の欠陥を対象とする非破壊評価法は確立されておらず、品質保証に課題が残っている。このような非破壊評価法は、製造工程における品質管理にも応用でき、生産コストの低減や歩留まりの向上にも貢献する。原料のコストが高いCFRPを用いる産業では、CFRPの非破壊評価法を確立することは重要である。本研究では、10 MHz以下の低周波数帯で繊維配向を同定できる渦電流探傷法の開発を目的として、差動型プローブを用いたCFRPの繊維配向の測定と評価を行う。得られた成果を元に、成形加工プロセスにおける低周波渦電流探傷法の有効性について考察する。
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