種々の濃度勾配を有するNi-Cu 合金めっき膜の硬度と微視的構造

摘要

イオン化傾向の異なる2 種類の金属イオンを含む電解液を用いた電気めっきでは，析出物の組成が負荷電位に依存する．したがって，異なる電位を交互に与えることによって，2 つの異なる金属を交互に積層させることができる．多層膜の機械的特性は一層あたりの層厚さなどに依存することが知られている．多層膜では比較的短時間の焼鈍では硬さが更に増加するが，硬さが増加したそのような多層膜では，Ni とCu との界面に相互拡散層が形成されていることが報告されている．傾斜組成めっき膜を作製するにおいて，相互拡散を利用する方法ではめっき後の熱処理が必要となるので，我々はめっきの段階で傾斜組成めっき膜を作製した．その硬度は多層膜より高いことが判明したが，その原因は不明である．本研究は，種々の濃度勾配と濃度幅をもつ傾斜組成めっき膜を作製し，微視的機構を調べることで，硬度増加の原因解明を試みる．