改良9Cr-1Mo 鋼の超高サイクル疲労

摘要

機械構造物の長寿命化に伴い，一部の鉄鋼材料において超高サイクル疲労破壊が発生してきた．改良9Cr-1Mo 鋼は火力発電用ボイラに用いられており，10~(10)サイクル以上の負荷を受けるため改良9Cr-1Mo 鋼の超長寿命域における疲労特性を把握する必要がある．しかし，疲労試験の時間が問題である．10~(10) サイクルの疲労試験を行うには，従来の疲労試験法では数年かかるが，負荷周波数が19.8 kHz である超音波疲労試験法を用いることで，数週間に短縮できる．しかし，超音波疲労試験法自体にも問題があり，負荷周波数の高さに起因した周波数効果や試験片の発熱などがあげられる．試験片の発熱を抑えるために試験片の冷却や超音波振動の負荷と停止を交互に繰り返す間欠負荷を加えるなど様々な工夫がなされている．そこで本研究では，改良9Cr-1Mo 鋼における試験片の発熱を抑えた疲労試験を行うことを目的に，試験片の温度上昇を計測し，発熱を抑えた疲労試験を行ったので報告する．