改良9Cr-1Mo鋼の高温高サイクル疲労特性評価

摘要

改良9Cr-1Mo鋼は高温強度特性に優れるため，超々臨界圧ボイラや化学プラントなどの高温機器に広く使用されている．しかし，最近，ボイラ蒸気配管の溶接部から蒸気が漏洩する事故が発生している．これは溶接熱影響部に発生するクリープ損傷によるもので，Type IV損傷と呼ばれている．そのため，Type IV損傷の機構解明や損傷検出法などの研究が盛hに行われている．一方，本材料は我国の高速実証炉の候補材料でもある．高速増殖炉においては，配管内を高速で流れるナトリウムに起因する流動励起振動が想定されており，配管の健全性を評価するためには，本材料の高温高サイクル疲労強度が問題になる．しかし，この方面の研究はほとhど行われていないのが現状である．そこで，本研究では本材料の高温高サイクル疲労特性を明らかにするために，室温，400°Cおよび550°Cにおいて一連の高サイクル疲労試験を行った．最大繰返し数は10~8サイクルを目標にした．