多結晶シリコン太陽電池の発電効率に及ぼすひずみの影響

摘要

近年，原子力発電の安全性や火力発電による環境汚染が問題視されており，新たな発電方法として太陽光発電が注目されている．太陽光発電は施設を一度製造すれば太陽光を照射することで発電を行うことができ，環境負荷の少ない発電方法である．現在，1 つの半導体材料で作られる太陽電池の発電効率は10～20%程度であり，太陽光発電の普及には発電を高効率化することが重要である．本研究では半導体材料にひずみが生じるとバンドギャップなどの電気的特性が変化することに着目し，太陽電池にひずみを生じさせることで発電を高効率化することを目的としている．従来の研究では，アモルファスシリコン太陽電池のような薄膜状の太陽電池にひずみが生じているときの出力の変化に関する研究は行われているが，多結晶シリコン太陽電池のようなバルク状の太陽電池にひずみが生じているときの出力の変化に関する研究は行われていない．本研究では多結晶シリコン太陽電池に基本的なひずみである引張，圧縮ひずみを生じさせ，そのときの出力を測定することで各ひずみと出力変化の関係を明らかにすることを目標としている．ひずみは太陽電池の基板に外力を加えることで生じさせる．