太陽集光シミュレータ用平板型レシーバ模型の温度·ひずみ計測に関する基礎的研究

摘要

近年，地球温暖化の要因である温室効果ガスの排出削減につながる再生可能エネルギーの一つとして，太陽エネルギーが世界的に有望視されており，太陽エネルギーの有効利用は重要な課題となっている．太陽エネルギーを有効利用する地球温暖化抑制に重要な技術の一つとして太陽熱発電が挙げられる．太陽熱発電とは太陽熱で作った蒸気でタービンを回して発電するものである．宮崎県は環境·新エネルギー先進地づくりを総合計画として掲げており，この度，宮崎大学にビームダウン式太陽集光装置を設置し，新エネルギーに関する研究開発を推進している．ビームダウン式太陽集光装置とはへリオスタットと呼ばれる多数の集光鏡が太陽を追尾しながら太陽光をタワー上部に向けて反射し，タワー上部に置かれた楕円鏡によって太陽光を再び下方に向けて反射し，地上に集光スポットを得る装置である．この高密度に集光された太陽光のスポットにレシーバと呼ばれる受熱器を配置すると，太陽光はレシーバの表面で熱に転換されて高温が得られる．ビームダウン式太陽集光装置の設置に先立って，昨年度，宮崎大学工学部の研究プロジェクトチームは太陽集光シミュレータを製作し，太陽集光シミュレータを用いたレシーバの加熱実験を行い，太陽光を効率的に熱に転換するレシーバの開発研究に取り組hだ．本研究は，集光された太陽放射光を熱に転換するレシーバの伝熱特性や高温強度の評価を目的としたものである．典型的なレシーバの一種である平板型レシーバを研究対象としてとりあげ，鋼製フィンと銅製円管からなる小型の平板型レシーバの模擬モデルの設計，試作を行った．そして，太陽集光シミュレータを用いた加熱実験によるレシーバの温度およびひずみ計測を行い，レシーバに生じる温度分布と最高温度ならびに熱応力の時間推移を調査した．