原子炉圧力容器の健全性評価方法の高度化(2)（脆性破壊発生に及ぼす荷重条件の影響）

摘要

第 1 報で概略を紹介した通り，加圧熱衝撃(PTS)時の原子炉圧力容器(RPV)の健全性評価に関して，米国で2010 年に発行されたPTS 事象時の破壊防止のための代替破壊靱性要求(10CFR50.61a)の技術的根拠であるPTS 再評価プロジェクトでは，オークリッジ国立研究所(ORNL)で開発された確率論的破壊力学解析(PFM)解析コードFAVORを用いて得られる耐圧機能喪失頻度と，別途設定された耐圧機能喪失頻度の許容基準を踏まえて，スクリーニング基準が決定された．一方，国内規程であるJEAC4206-2007では，想定する条件，例えば欠陥寸法や荷重条件等に保守性を見込hだ上で，脆性き裂進展発生の評価を行うものであり，これらが内包する健全性に係る裕度について，確率論的評価手法を用いて確認を行うことは有効であると考えられる．このような背景から，本報告では，RPV の健全性評価方法への確率論的手法の導入を目的として，PTS 時の健全性評価に最も影響を及ぼすパラメータの1 つである荷重条件に着目し，国内及び米国の荷重条件を用いて決定論解析及び確率論解析を行い，脆性き裂進展発生に及ぼす影響を確認した．