高速炉機器設計のための非弾性解析に基づく評価手法の開発（（１）非弾性設計解析に関するガイドライン）

摘要

高速炉実用化のための重点課題のひとつとして，原子炉容器のコンパクト化がある．また、その設計成立性を評価する項目の一つとして寿命中累積するひずみの制限がある．ナトリウムを冷却材とする高速炉の原子炉容器については寿命中の起動·停止によって，炉容器内のナトリウム液面が温度の変化を伴って上下に繰返し移動することによって液面近傍に生じるラチェットひずみが主要な評価対象となる．複雑な非弾性挙動の結果生じる，このようなラチェットひずみについて，従来の弾性解析に基づく評価法を適用した場合，簡便ではあるものの，過剰な保守性を有する可能性がある．このため，本来保守性を有するにもかかわらず，設計成立範囲が限られ，原子炉容器のコンパクト化が達成できない可能性がある．このような背景から，本研究においては上記のような非弾性挙動を合理的に表現でき，かつ適切な保守性を有する非弾性解析手法の開発とこれに基づく設計用のガイドラインの作成を進めている．本稿では，シリーズ４編の第１稿として，本研究の対象範囲，研究の概要及び非弾性設計解析に関するガイドラインの主要点について述べる．本シリーズの第２稿において設計用非弾性解析用として推奨する構成モデルについて，第３稿において非弾性解析に使用する構成モデルの妥当性検証について，さらに第４稿において本ガイドラインを高速炉の機器設計に試適用した結果について述べる．