マルチパラメータレーダネットワークによる局地的豪雨の監視と予測

摘要

災害の発生機構の研究や予測技術の高度化のため，防災科学技術研究所は2006年から他の研究機関や大学と連携して，Xバンド気象レーダネットワーク（X-NET）の構築を進めている。X-NETは，防災科学技術研究所，中央大学，防衛大学校，気象協会，電力中央研究所，山梨大学が所有する研究用レーダをネットワークで結び，降水と風に関する情報をリアルタイムで配信する技術を確立することを目指す研究用レーダネットワークである。X-NETから得られる情報は，災害をもたらす激しい大気現象の理解やその予測技術の向上，都市型風水害の軽減に向けた研究に利用される。X-NETは新しい都市防災システムとして位置付けられ，その特徴として，（1）都市の優れた通信インフラを活かしたレーダネットワーク，（2）既存の研究施設の利用による即効性と経済性，（3）3000 万人の住民が生活する首都圏が試験地，（4）エンドユーザ（研究者，国，地方公共団体防災担当者，民間気象関連会社など）とのやりとりを通じた研究開発，などが挙げられる。