応力下における安定および準安定オーステナイトステンレス鋼の水素存在状態変化と水素脆化特性

摘要

水素エネルギー社会実現に向け社会基盤の整備が進められているが、「水素輸送·貯蔵」を可能にするインフラ材料技術が重要な課題となっている。その候補材料の一つであるステンレス鋼は、高圧水素中でひずみを付与すると、α'マルテンサイト相を生成し脆化するが、低温加工であらかじめα'を生成させたSUS316Lでは脆化しないことが報告されている。著者らは、Incone1625とSUS316Lについて、水素とひずみの相互作用によって格子欠陥形成促進の有無と水素脆化との関係を報告した。そこで本研究では、予ひずみを付与した安定および準安定オーステナイトステンレス鋼の基本的な水素昇温脱離プロファイルを比較し、予ひずみで形成した格子欠陥と水素脆化特性の関係について検討した。