無余熱造形による細胞培養用の足場製作のための微細造形とその評価

摘要

樹脂粉末レーザー焼結法（Laser Sintering，以下LS法）は，樹脂粉末をレーザビームで選択的に融点以上に加熱して，粉末材料を融着させて行きながら立体を造形する手法である．通常LSでは，造形物の反りを低減するために粉面の予熱を行っているが，予熱には温度管理の困難，長時間の過熱による樹脂の劣化のほか一部の樹脂では昇温時に粉末の塗布ができないなどの問題をともなう．筆者らは，予熱を行わずに造形を行う手法として，造形物をベースに固定することで反りを回避する造形法を提案している．さらにこの手法では，従来の積層造形法に比して，微細な造形が行えるため，細胞を培養するための足場（以下Scaffold）の造形への応用も期待できる．本報では，通常の予熱造形では造形できない生分解性のポリグリコール酸（Polyglycolic acid，以下PGA）を用い，無予熱造形により造形できる微細壁の限界とそれを用いた際の細胞の生存に関係する充填率について報告する．