農業用パワーアシストスーツに着脱可能な荷揚げ作業アシストユニットの試作

摘要

稲作や根菜類などの野菜の栽培での腰痛と膝痛は，中腰姿勢や前かがみ姿勢での作業が多いことに起因する．特に，収穫物や肥料などの荷揚げ作業では，大きな力を時間効率よく発揮するために，前かがみ姿勢で行われ，背中や腰等への負荷が大きい．前かがみ姿勢での荷揚げ作業は，健康障害になりうるリスクが高く，特に持ち上げ質量20kgでは作業時間に関わらずリスクを許容できないことが報告されている．本研究室では，外骨格型の農業用パワーアシストスーツを開発している．本アシストスーツの特長は，肩部のラチェット機構により上腕の挙上を，膝部の渦巻ばねにより立ち上がり動作をアシストする点である．このアシストスーツに着脱可能な荷揚げ作業アシストユニットを取り付けることで作業負担を軽減し，姿勢保持と荷揚げ作業の両方に対応でき利便性が向上する．本研究の目的は，農業用パワーアシストスーツに着脱可能な荷揚げ作業アシストユニットを開発することである．本報告では，アシストユニットの概略図を示し，動作の幾何学的·力学的条件に基づいて設計·試作したアシストュニットについて述べる．