アルミニウム合金のニアドライ加工に関する研究－溶着除去による工具切れ刃再生法が溶着生成におよぼす影響

摘要

アルミニウム合金の切削は被削材が切削工具の刃先に溶着しやすいため，加工精度の悪化や工具寿命の低下が大きな問題となる．他方，最近では地球環境配慮の観点から切削油剤をほとhど使用しないニアドライ加工の実用化が期待されている．アルミニウム合金のニアドライ加工法の研究には大きく分けて2つのアプローチがなされている．一つは工具刃先部への溶着の発生·成長を極力小さくする溶着抑制加工法である．もう一つは工具刃先部へ発生した溶着を除去することによって工具切れ刃を再生させる方法である．溶着抑制加工法に関しては，工具材質や工具形状や切削油剤および切削条件の観点から多くの研究結果が報告されている．溶着除去による工具再生法では，液体金属脆作用を用いた研究が報告されている．本研究は，工具刃先に付着した溶着を工作機械上で砥石などを用いて除去することで工具切れ刃を再生させることを目的とする．図1は本研究における溶着除去による切れ刃再生法の考え方についての模式図を示す．研削加工における機上ドレッシングのような切れ刃再生方法をイメージしており被削材を一定切削距離ごとに切れ刃再生のための溶着除去を短時間で行うことを考えている．今回の実験では，溶着除去による切れ刃再生が可能かどうかを検討するために，市販の研磨紙を用いて手作業にて工具刃先に発生した溶着の溶着除去を行う．