部分空間法に基づく残差ベクトル軌跡による異常検知手法の検討

摘要

製造業が担う事業は， 顧客への設備の提供だけではなく， 設備の運用·保守サービスも一括して請け負うサービス， 更には設備が生み出す価値の向上も提供する時代へと変化しつつある。このような事業変化を実現するためのキー技術が， 設備に付加したセンサからの大量データの分析に基づいて設備の運転状況を的確に把握し，故障や性能劣化を予測することを可能とする高度な認識技術である。これにより， 設備のダウンタイム解消， 設備運転時の安全性の向上，保守コストの削減等が図られ，設備価値を増大させることが可能になる。本研究は， 設備から得られる多次元時系列センシングデータを対象に,事例ベースの早期異常検知手法の開発を目的とする。学習データによって張られる部分空間から観測データへの残差ベクトルに着目し， その軌跡に基づき， 異常を検知する手法を立案した。