工作機械主軸のへルスモニタリングシステムの開発－特徴量を用いたベアリング潤滑不良の早期検知

摘要

近年，工作機械は自動化され工場内で一括管理される傾向にある.また，高速かつ高品質な加工を行うために高精度化が求められている工作機械は，故障による加工精度への影響が非常に大きい.そのため一つの小さな異常が，製品の生産や品質管理に大きな影響を与える.先行研究では，振動波形に着目し，回転機械の劣化を定量化した診断が行われている.しかし，工作物や加工方法によって運転状況が大きく変化する工作機械において，主軸の劣化を定量化した診断を行った例は極めて少ない.そこで本研究では，工作機械主軸の温度や振動などの情報を総合的に判断することで異常を早期検知し，故障を未然に防ぐヘルスモニタリングシステムの開発を目的とする.本報ではまず，ベアリングの潤滑不良に着目し，潤滑不良状態となった主軸を対象とした試験を実施することで，異常を特徴付けるパラメータの傾向の分析を行った.このパラメータを以下，特徴量と呼称し，ベアリングの潤滑不良に伴う特徴量の時間的推移について考察を行う.