ホウ素添加ナノ多結晶ダイヤモンドの精密加工への応用

摘要

われわれは，超々高圧高温下での直接変換法により，ダイヤモンド単相（バインダレス）の非常に緻密な組織を持った高硬度なナノ多結晶ダイヤモンド（NPD）を開発し，超硬合金や硬質セラミックスなどの切削工具として実用化した［1］．最近われわれは，このNPDにホウ素を添加することで摺動特性や耐摩耗性が向上すること，さらに導電性を有するためトライボマイクロプラズマ現象が起こらず絶縁材料に対する電気的摩耗が抑制されることを見出した［2，3］，これらの効果によって，加工する対象物や加工条件によってはNPDより優れた切削性能を示すことを確認した．また，数千ppmのホウ素を添加したものは放電加工も可能であることがわかった．本報では，このホウ素を添加したNPD（以下，B·NPDと記す）の各種硬質材料に対する切削試験結果を総括するとともに，放電加工による種々の三次元微小工具の試作と工具性能評価を行った結果を報告する．