強磁場環境下における触覚呈示を目的としたボルト締めランジュバン型振動子の試作設計

摘要

脳活動を可視化することが可能なfMRI（functional Magnetic Resonance Imaging）技術の発展により，脳活動と人の感覚の関係が明らかになりつつある．また，血管や神経などを容易に撮影できることから，MRIを手術に用いることで，より正確な施術が可能になるとされている．一方で，触覚呈示の手法として，超音波振動を利用したデバイスが研究されている．本研究でもこれまでに，スクイーズ膜効果を用いることで，物体表面のテクスチャの感じ方を変化させるデバイスについて研究を行っている．fMRI中に動的に触覚を変化させることが可能となれば，触覚と脳活動の関係にまで議論を進められると考える．超音波振動子は，駆動源である圧電素子を強磁場環境内に設置可能である事から，非磁性金属材料で構成される超音波モータをはじめ，MRI用デバイス内に設置される駆動源として多く使用されている．一方で，本研究で扱うスクイーズ膜を発生させるほどの大振幅，高振動速度を発生させた場合，非磁性金属材料内において渦電流が発生し，振動子を駆動したことによるMRI像への影響や，振動速度の低下に伴う発熱等が生じると考えられる．そこで本研究では，fMRI装置内において使用可能な触覚呈示デバイスへの応用を目的としたボルト締めランジュバン型振動子について試作を行い，初期段階として，非磁場環境における特性評価を行った．