短パルスレーザーで鋭利に仕上げた工具による鋳鉄の高速加工

摘要

一般的に，鋳鉄の高速加工にはcBN（Cubic Boron Nitride:立方晶窒化ホウ素）工具が用いられている．cBN工具の刃先成形にはダイヤモンド砥石による研削加工が用いられるが，高脆材料の焼結体であることから，成形時に粒子脱落，微細表面欠損·クラックといった微小欠陥の発生を避けることができない．このような微小欠陥を内在する刃先や工具表面を有する工具は，切削時にこれら微小欠陥を起点とした工具損傷を生じ易いと考えられる．市販cBN工具の多くは刃先強度，耐欠損性を向上させる目的でホーニング加工されており，切れ味が犠牲になっている．もし表面に微小欠陥を導入することなく刃先成形可能なら，ホーニングは不要となり，切れ味のよいcBN工具が実現され，一層の高能率加工が可能となる．