スクワット動作におけるコツの可視化－モーションキャプチャ·床反力·表面筋電図を用いた動作解析

摘要

スポーツ, ダンス, 音楽, 料理, 製造, 介護などさまざまな場面において, 動作の技能が存在する．それぞれの分野において, 動作の熟練者は非熟練者に比べて, ある特徴的な関節の動かし方や筋の発揮を行うことにより, それぞれの場面で高いパフォーマンスを発揮する．例えば剣道の熟練者の打ち込み動作は非熟練者に対して筋を発揮するタイミング, 強さ, 緩急を効率よく行うことにより, 筋疲労が少なく, 再現性の高い動作を実現する．技能を習熟させる上で熟練者の動作を手本にすることは習熟の効率をあげるのに有効なことである．しかし, 熟練者の動作には, 筋肉の使用部位や発揮強度, また身体重心位置の移動など外見からでは判断することのできない多くの情報が含まれている．それらの情報を動作のコツとし, 非熟練者に熟練者の動作のコツを見せることは, 技能教育を行う上で重要である．また熟練者の動作のコツには, 運動学に基づいた理論や指導者の経験に基づいてトレーニングの指導書やWEBページなどに言語や図により知識として蓄えられている経験知レベルのコツと熟練者自身が習熟の過程で無意識的に獲得する暗黙知レベルの動作のコツが存在する．