加工方向と順序の自由度を考慮したフレキシブル加工工程設計支援の一手法

摘要

現在のものづくり社会において，コンピュータ支援技術は必要不可欠となっており，CADやCAMに加え，それらの橋渡し的位置づけにあるCAPP（Computer-aided-process-planning）においても多数の研究開発が行われている[1-3]．近年主流となっている多品種少量生産では，設備の増設や生産ラインの組み替え，生産品種の変更など，プロセスを取り巻く状況は頻繁に変動しており，これらの生産変動に即応可能な自律分散型生産システムの構築の必要性が論じられているとともに，コンピュータ支援技術もそれらの変動を考慮したものが望まれている．Hang[4]らは，被削材と製品形状から抽出された加工除去領域（TRV：Total Removal Volume）を最小単位に分割した後，設定した指標が最適値を取るように，それらの最小単位を再構成し加工フィーチャを生成することで，生産変動に柔軟に対応可能な工程設計支援法を提案している．また，この手法が抱える計算負荷の問題に対して，著者らはTRVの形状から直接加工フィーチャを生成する手法を提案している[5]．これらの手法は３軸加工を想定したものとなっており，加工方向を一方向に固定した場合の最適工程案が出力されることになる．近年，多軸加工機の普及が進hでいることを考慮すると，これらの手法を複数方向からの加工を考慮した手法に拡張することが望まれる．本稿では，工具軸およびそれに直交する２軸の３方向からの加工を考慮した工程設計支援法を提案する．上述の既存手法と問題点を２節で概説した後，３節で，加工方向·順序情報を考慮し，かつ適正工程案を効率的に抽出する手法について述べる．