近赤外3次元分光法による無侵襲血糖値計測技術（第3報）-深度方向の分光像空間解像度改善手法の基礎検討

摘要

高空間解像度3 次元近赤外分光方式による，無侵襲血糖値計測技術の確立を目指している．本方式は，結像型フーリエ分光法であり，生体膜内の合焦面における光学的な輝点群から生じる物体光の分光を理論空間分解能程度の高解像度で2 次元同時計測可能である．また，合焦面内の輝点から生じている物体光成分のみがインターフェログラムの形成に寄与している．よって，深度方向に合焦面を走査する事で，焦点深度程度の高空間解像度を有する3 次元の分光断層像を計測できる．現在我々は，更なる深度方向の解像度向上を目的として， 解析的な深度方向の分光像空間解像度改善手法に関する基礎検討を行っている．結像型フーリエ分光方式の原理上，結像面で観察される合焦面内の各輝点におけるインターフェログラムには，焦点深度外の断層における輝点から生じる物体光の干渉成分が僅かながら混入する．検討手法では深度方向に合焦面を移動させつつ計測した各断層の分光強度分布を基に，焦点深度外に位置する輝点群の分光特性を解析的に分離し，深度方向の空間分解能を改善する．本報告では結像型フーリエ分光法による3 次元分光断層像計測原理について述べた後，可視域で点光源を用いてデフォーカスに伴う深度方向の分光強度変化を計測した結果について述べる．