金型生産のためのCAD/CAM システム－機能フィーチャを活用したCAD／切削工具摩耗予測CAM

摘要

1990 年代になって，フィーチャベースモデリング機能やパラメトリックモデリング機能が開発され，三次元CAD/CAM システムが実用システムとして提供されてきた．当初では，三次元CAD/CAM システムは本当に金型の設計製造の効率を高められるのか，その効果はどれほどあるのか，といった導入にあたっての疑問について大いに議論された．1990 年代の中頃になって，前述の疑問について議論することは少なくなり，導入し活用するプロセスの効率的方法について議論され，1990 年代の後半には，三次元CAD/CAM システムは，金型の設計製造において不可欠のツールとなり，その効果的な活用が事業成功のキーとなってきた．三次元CAD/CAM システムが処理するデジタル情報とNC 工作機械の活用により，誰もが比較的短時間で高度な加工を実現できるようになり，このことがアジアの様々な国が急速に工業立国として成長してきている大きな要因となっている．このような背景の中で，日本の製造業は，製造技術に関して，常に世界を先導する立場を維持すことが必須となっている．金型の設計製造に関しては，三次元CAD/CAM システムによる単純なデジタル処理技術の活用レベルでは，世界を先導し続けることは困難であり，ノウハウや経験則を取り込hだ高度なデジタル処理技術を構築することが重要である．本報では，三次元CAD/CAM システムを高度に活用する試みとして，機能フィーチャを活用したCAD システムと金型加工における切削工具摩耗予測CAMについて述べる．