長期間の日常生活中の生理心理計測に基づく個人適合型緊張感推定法

摘要

日常生活の中で，生活者に比較的負担をかけることなく，測定可能な生理信号として，瞬時心拍数（心拍変動）が挙げられる．しかし，日常生活の中では，心理状態以外の様々な要因（運動，食事，日周リズム等）により，自律神経系の活動バランスは変化する．このため，日常生活中の心理的緊張感と心拍変動パターンとの間の関係は単純ではなく，大きな個人差があることが知られている．我々の過去の研究において，40名の被験者の3日間にわたる日常生活中の緊張感と心拍変動指標（HFnu，MSSD，HRなど）との間の相関係数は被験者によってばらつきがあり，被験者間平均値は0.04-0.05と非常に低値であった．しかし，各個人毎に注目すると，相関係数の高い組み合わせが存在した．そこで，個人差の影響を取り除くための，長期間にわたって同一個人の日常生活中の心拍データと心理状態を測定し，その心理生理データに基づいて，各個人ごとに最適化した心理的緊張感評価方法を構築する方法を検討する．