超臨界水を利用した重質油改質プロセスにおける水＋重質油系相挙動予測

摘要

近年，石油資源の枯渇や原油価格の高騰という背景から未利用重質油の有効利用が求められている．その一手法として超臨界水を利用した重質油改質プロセスはコーク抑制の観点から注目を集めている．プロセス設計上，各反応条件での相状態の把握は必須だが，重質油は多様な類似成分からなる複雑混合物であり，高温での熱分解も不可避であるため，相状態の詳細な実測は困難である．これらの課題に対し，当研究室では石油精製における手法に準拠して重質油を留分へ分画し，各留分を擬似成分として取り扱って状態式を適用する相挙動の予測を目指している．本法での鍵は分画法と留分のキャラクタリゼーションに加え，水と重質油留分という非理想性の大きな成分間の相互作用パラメータ（k_(ij)，l_(ij)）の見積もりである．