均質媒体モデルを用いたLESによるClark Y-11.7翼周りの非定常キャビテーションの解析

摘要

キャビテーションは，液相の圧力低下により気泡の生成·崩壊が生じる現象であり，ポンプや水車などの流体機械の性能·信頼性の向上を阻む要因の一つとなっている．そのため，設計段階における本現象の事前予測に対する数値解析への期待は非常に大きい．現在，キャビテーションのCFDにおいて最もよく採用されている計算手法は，気液間のスリップ速度を無視したうえで，各相の密度や運動量を各格子内にて体積平均する均質媒体近似に基づくものである．これは，既往の混相流解析の中では最も多くの近似を伴う手法であるが，単相流解析からの拡張の容易さや計算負荷·数値安定性の面で優れており，特にターボ機械のキャビテーション解析ではほとhどの場合，均質媒体近似が採用されている．また，均質媒体近似による解析の多くが，ボイド率を未知数とする1方程式モデルを適用している．一方，キャビテーション流れの多くは乱流状態にあるため，その数値解析には乱流場の高い再現性も求められる．RANSに比べて，格子スケール以上の変動を解像するLESは乱流の非定常構造の再現に有効であり，上述の1方程式モデルを用いたキャビテーション流れのLESも行われてきている．