純アルゴン雰囲気におけるパルスプラズマミグ溶接プロセスの開発

摘要

プラズマミグ溶接プロセスでは，溶接ワイヤへの通電に用いる電源とは別系統の新たな電源を設け，これを用いてプラズマ電極を介してアークの上流域でシールドガスを予めプラズマ化する．このため，電場や磁場の作用によってアークの形状を変化させることが可能になり，制御性が格段に向上する（Fig.1参照）．本プロセスを用いることにより，純不活性ガス雰囲気での溶接においても，従来のミグ溶接を用いた場合と比較して，非常に安定性の高い溶滴移行を実現でき，良好な溶接継手が得られる．しかしながら，厚板を対象として1パスでの溶接を試みる場合，ワイヤ送給量を増加させる必要があり，開先内でアークが不安定となる傾向がある．このため，安定したピード形成が難しく，さらなる改善の余地がある．本稿では，従来直流で使用していたプラズマ電流波形をパルス化することにより，アークの安定化をはかり，ピード形成の改善を試みた結果について報告する．