低放射化フェライト鋼F82Hの無変態摩擦攪拌接合

摘要

摩擦攪拌接合（FSW＝Friction Stir Welding）は、英国溶接研究所（TWI）が1991年に開発してから十数年が経ち、従来のAl、Mg、Cuなどの低融点金属に関する研究に限らず、炭素鋼, ステンレス鋼などの高融点金属へも適用もされつつある。低放射化フェライト鋼F82Hは核融合炉より発生したエネルギー及び燃料を外部に取り出すために必要となるブランケットシステムを支える核融合炉構造材料である。F82Hの溶接では、熱影響部の強度低下が問題となるため、一般に低い入熱量での溶接が望まれる。また、変態点（A_(C1)：～840°C）以上に加熱した場合には、硬くもろいマルテンサイト相が生成するという問題もある。そこに本研究では接合部に変態を伴わない接合条件で低放射化フェライト鋼F82HのFSWを行い、接合部のミクロ組織および機械的特性を評価することで、FSW中の変態の有無が継手特性にどのように影響を及ぼすかについて論じる。