高強度溶接金属の靭性に及ぼす酸化物の影響 -- 高強度溶接金属の特性支配因子の検討（第二報）

摘要

近年、鋼板の高張力化に伴い、溶接金属にも高い強度、靭性が要求されている。溶接金属の靭性に及ぼす酸素量の影響については数多く研究されているが1），2）、組織がマルテンサイトとなる溶接金属の靭性に及ぼす酸素の影響についての研究報告は少ない。これまでの研究では、主に溶接方法やシールドガスによって酸素量を変化させており、溶接金属の成分が異なる、溶顔方法によって冷却速度·ピード断面形状が異なるなど、靭性に影響を及ぼす可能性がある他の要因を含hで比較評価しているものがほとhどである。そこで本研究では、溶接金属の組織がマルテンサイトとなる成分系のソリッドワイヤ（以下、SW）に対して、SWと同じ溶接金属成分となるように成分設計したフラックス入りワイヤ（以下、FCW）を用いて、溶接金属の酸素量を変えることで、溶接金属の靭性に及ぼす酸素量及び酸化物の影響を調査した。